あたしは早足で教室に駆け込んだ。

教室に入っても鋭い視線は突き刺さる。

しかもいつも以上に棘がある気がする。


あたしはその視線の痛さに教室の入り口で動けなくなった。



「小柴さん」


固まっているあたしにそう声をかけてきたのは、この間あたしに写メ撮ってとケータイを渡してきた女の子。

どうやらこの子がうちのクラスの海里くんファンの中でもリーダー格にいるらしい。


やっぱりこの鋭い視線の原因は海里くんか……。



「……なに?」


その子は周りに何人も侍らせながらあたしの目の前までやってきた。


「ちょっと訊きたい事があるんだけど」

「……うん」


怖い顔に怖い声。

これはただ事じゃない。

どうしよう。

ここは逃げるべきか、どうするべきか……。



「入れない」


あたしがあわあわしていると、突然頭上から声がした。