「写メ撮って!」
髪はくるっくるに巻かれてて、まつげはばっさばさ。
目の周りは黒く囲んであって、鼻筋にはハイライト。
そんな同じクラスの女の子――名前なんだっけな?――が、あたしにケータイを押し付ける。
「わかった。じゃあ並んでー」
あたしは仕方なくそのケータイを構えた。
海里くんを真ん中にして女の子達は花壇の前でピースをした。
「いくよー」
「あ、ちょっと待って!」
いざシャッターをきろうとしたその時、あたしにケータイを押し付けた女の子が声を上げた。
「そこの2人も一緒に写ろー!」
なんと、そのコは未玖と豪くんを誘った。
あたしがケータイを構える姿を残念そうに眺めていた2人が一斉に両手と頭を振った。
「いやいや!いーよ!」
「俺も!大丈夫!」
「いーから!いーから!」
でもそのコの押しは強かった。
2人の手首をガッシリ掴んで、有無を言わせぬ強引さで自分たちの輪の中に加わせた。
あたしはそれを冷ややかに見つめるしかない。


