湖の脇を抜ければそこには綺麗なお花畑が広がっていた。
色とりどりの春の花が何かの模様になって凛と咲いている。
凄く綺麗。
その真ん中の道をあたし達は進んだ。
「海里!見て見て!超キレー!」
後ろから女の子達の興奮した声が聞こえてきた。
「んー」
「写メ撮ろ!写メ!」
「やだよ」
「いーじゃん!撮ろー!」
「あ!小柴さんに撮ってもらおーよ!」
「それイイ!」
ん?なんだって?
「潤、振り向いちゃダメだよ。あんなのは無視無視!聞こえないフリだよ!」
未玖があたしの耳元で悪魔な囁きをした。
そうだね、何であたしが撮らなきゃいけないんだ。
同じ班の男子にでも撮ってもらえばいいんだよ。
「こっしばさーん!」
聞こえない、聞こえない。
「小柴さーん!」
聞こえない、聞こえない。
「小柴さんってば!!」
「はい!!」
あ……。
無理だった。
あまりの恐ろしい叫び声に振り向かざるを得なかった。


