「あたし?」
「うん。もう誰かと組んだ?」
「いや…、組んでないけど」
組んでないけど、海里くんと組むのはは避けたかった。
だってあたしがあの家に住んでる事がバレない為にも、海里くんと学校ではあんまり関わらない方がいい気がする。
どこからバレるか分かったもんじゃないから。
「じゃあ、いいよね」
「あ、いや…」
「なに?」
「…なんでもない」
海里くんはたぶんあの女の子の集団から逃げてきたんだと思う。
だからあたしに組もうなんて言いに来たんだと思う。
それが分かってて断っちゃったら、あたし人でなしじゃん。
冷酷人間じゃん。
「豪(ゴウ)もいいよね?」
海里くんがそう言った相手は、あたしの隣の席の男子。
「オッケー」
隣の席の“豪”と呼ばれたその人は、海里くんに向けて親指を立てた。
海里くんと豪くんはお友達らしい。


