樹さんの2階を歩く足音は、どこかの扉が開いてそして再び閉まるまで聞こえてた。
初めて会った樹さんは、怖い人だった。
そしてあたしに謎の言葉を残していった。
そうして玄関前で固まってるあたしの肩をポンと何かが叩いた。
「ひゃっ!」
ビックリして変な声が出た。
「ごめん。驚かせちゃった?」
「大河さん!ビックリした!」
あたし肩を叩いたのは大河さんだった。
「ごめんごめん。どうしたの、こんな所に突っ立って」
「大河さんこそどうしたんですか?」
もうみんな寝てるのかと思ってた。
だから余計にビックリした。
「風呂入ってきたんだけど、仕事やってたらこんな時間になってた」
「先生って大変なんですね」
こんな時間までご苦労様です。
「そうかな?潤ちゃんはどうしたの?明日テストなんだから早く寝た方がいいよ」
はっ!しまった!


