「何歳ですかー?」
「先生になって1年目ですかー?」
「彼女いるのー?」
次から次へとどこからともなく質問が飛んでくる。
どうやらみんな大河さんに興味深々みたいだ。
「わーかった!ちゃんと答えるから静かにしなさァい」
大河さんは教卓に両手を付いてちょっと前のめりに大きい声を出した。
みんなが静かになると、コホン!大河さんは1つ咳払いをすると語り始めた。
「えーっと何だっけ?歳か、歳は25歳だね。一応長男だよ」
「“一応”なんですかー?」
「そう」
そんなやりとりに笑いが起こった。
“一応”なんて言っちゃって。
あたしがここ数日見た限り、大河さんはちゃんと“長男”だと思う。
弟達には逆らわせない、でも優しいところもあって頼りがいがある。
そんな大河さんをあたしは頬に両手を当てて見ていた。
うん。
何だか眺めがいいな。


