あたしはその光景をただ呆然と見てる事しか出来なかった。
ほんの数メートル先の出来事を足を止めて見つめるしか。
「げっ。あの子なんかコッチ見てる」
その時海里くんを囲んでいた女の子の1人と目が合った。
なんだか嫌な予感がする。
「え?本当だ!」
「えー、なにあの子!海里の事狙ってるんじゃん?」
……は?
それはあんたらでしょ!?
あたしはただ海里くんにクラスを伝えようと―――!
心の中で文句を言ってると海里くんがあたしに気だるそうに目線を向けた。
海里くんがその子達にちゃんと説明してよ!
じゃなきゃあたし変人扱いされちゃうよ!
だけど――。
海里くんはあたしなんか知らないと言う風にスッとすぐに目線を逸らした。


