入ったその景色は全く変わっていなかった。
カーテンは閉まりきっていて、ベッドの布団は乱れている。
タンスの中に入っている服は荒らされ
家族の写真立ては全部潰されている。
机の上を見ると、そこには高校生の友達と見られるプリクラや
彼女とのプリクラとか…いろんなものが貼ってあった。

引き出しを開けてみると、そこにはシャーペンが転がっていて
ノートの中身を見ると
そこにはびっしり行が埋まっている数学の式が書いてあった。
兄ちゃんはちゃんと勉強していたんだ。
なのに…結果があまり良くなかったんだ。

いろんなノートを見ていたら
1冊のノートに目がとまった。
汚い字で『日記』と書いてあるノートだった。
それはその日の出来事を鮮明に書いてあるものだった。
喧嘩した日のことも、家出するその日の前のことも。
全部全部、兄ちゃんの気持ちが書いてあった。

「それ…春斗さんの日記?」
翔希が後ろから覗き込む。
「多分な…。」