「どーせ、逃げるんでしょ?」 校門脇からパッと現れたのは、妖艶な笑みをチラつかせている恵摘。 …どうやら先回りしていたらしい。 「さ、帰ろうか♪」 ギュッと握られた左手首が、痛い。 いつもなら、もっと優しいのに… いつもなら、少し進む度に振り返って笑ってくれるのに… いつもなら……… こんなに恵摘を怖く思わないのに。