実験室を飛び出した私はがむしゃらに走り、気付けば保健室のドアを開けていた。


「あら、原田さん、どうしたの?」


養護教諭の春田先生が、私を見て大きく目を見開いた。


若くて、ちょっと化粧は濃いけど美人で、優しい春田先生が私は大好きで、姉のように慕っていた。


「先生……」


春田先生の顔を見たら、止まりかけていた涙が、またジワッと出てしまった。


「ここにいても、いいですか?」


「ここは避難所じゃないんだけどね……。あ、そうでもないか。いいわ、頭痛がしたって事にしておいてあげる」


「ありがとうございます」


「何があったの?」


春田先生は立ち上がると、私の傍に来て頭を撫でてくれた。