「嫌がってんだろ?やめてやれよ」
いきなり後ろから低い声が飛んできた。
振り替えると、そこには背の高いスーツ姿の男性が立っていた。
た、助かった…!?
あたしはその瞬間に緩んだ修二さんの腕を振りほどいた。
修二さんはびっくりしながら、男の人を見ている。
「だ、誰だ!?お前は…」
「あ?テメーに言う必要ねぇだろ」
男の人はあたしが修二さんに対して怯えているのに気付いたのか、あたしを守るように前に立ってくれた。
「なんなんだよ、いったい…な、菜奈ちゃん!嫌がってなんかないだろ?ほら、行こうぜ…」
修二さんはあたしに手を伸ばしてこようとする。
「嫌っ……!」
あたしは思わず身を縮めた。
「いっ…いてててっ!!」
へっ?
あたしは聞こえてきた修二さんの悲痛な叫びに顔を上げた。

