私は目をぎゅっと閉じて開けた。



『よっ!』



前には松葉づえをついた刹那がいた。

どうして?



「まだ入院中なんじゃ…」

『松葉づえつくなら学校行っていいって許可もらった』



笑って答えた刹那。

大丈夫なんだ。

やっと安心できた。

私は刹那に目を向けてみた。



「鞄持つよ」



私は刹那から鞄を取り、肩にかけた。

鞄なんて持ってたら歩きにくいでしょう?

いつも自転車の時、私の鞄かごに入れてくれてたから。

今度は私の番だもん!



『悪りぃな…俺カッコ悪』

「何言ってるの?
刹那はどんな時だってカッコいいよ☆」



刹那は刹那だもん。

他の誰かじゃない。

私の大好きな刹那だから。



『嘘でもありがとな』

「嘘じゃないもん!」



いつもこうやって嬉しさを誤魔化してる。

私にはバレバレなんだから。



『その顔は本当だな!』

「うん!」



私は刹那に近づいて学校へと歩いた。

このずっと長くて遠い道のりがなぜか短く感じる。

それはきっと大好きな人が隣にいるからだと思う。


野球してる姿はもう見れないけれど、刹那は誰よりも応援して、みんなに沢山の事を教えてる。

毎日野球部のグランドに行ってる。

その姿も大好き。

野球を思いやる気持ちが伝わってくる。