「着いたで?憂愛、さっきからニマニマし過ぎやて」



「…紀斗さんの所為なんだよ」



私の心をいつだって動かす貴方が悪いんだ。

地下の駐車場。

はだか電球の薄明かりだけが頼りの車内で初めての口付け。

唇は柔らかくて、舌からは煙草の苦味を感じる。



「可愛かったからやで」



「ありがとう…」



こんな私を褒めてくれて。

ダメなところが多いし、甘えてばかりなのに。

優しさに愛を、体中に感じてる。



「もう行くで?倉木椎都は短気なヤツやでな」



「嘘は言わないの」



私は彼の腕を叩いて車を降りた。