―――看護師さんによる消毒、レントゲンを撮り、やっと診察。

触診を受け、電子カルテに入力してる先生の返事を待つ。



「今はアドレナリンで痛みが治まっていますが、また痛みが出ると思うので、痛み止めを処方しときます」



「はい…」



風邪を引いても滅多に来ない病院に、まさか怪我をして来る事になるとは。

でも、救急外来は静かだと初めて知った。

自分の視野の狭さを知った。



「それと…、残念ながら左耳は機能してません。再生する事もありません」



「……」



彼の声が聞こえなかったのは―…
兄貴の言葉の意味を―…
今、わかった。