「――ハッ!!;;」



顔の左半分が焼けるように痛い。

このまま死ぬんじゃないかと思うほどだ。

手のひらに感じる、生暖かい感触。

耳から血が出てる。



「ユマちゃんが俺らをナメるからー」



…ナメてない。

あんたの考え方が間違ってるんだよ。



「お前らガキは…憂愛らをナメてるやろ」



声に出来ない感情が溢れた刹那、聞き慣れた関西弁。

顔を上げれば、彼――高瀬紀斗が居た。

「待っとけや」と、私にハンカチを押し付けると、ネクタイやワイシャツの襟元と袖口のボタンを外した。

いつもの優しい彼は、存在しない。