タクシーで指定された場所へ。

倉庫はスプレーで落書きされていて、明らかに不良のたまり場。

…兄貴の仲間の?

何か、入りたくない。

生きるか死ぬか――…
最初で最後の危険の向き合わせだと思う。



「…はぁ」



倉庫のブリキの壁に凭れてため息を吐いた。

やっぱり入りたくない。

入ってどうするのわけ。

兄貴の身が危なかろうが、知ったこっちゃない。

ーープルルルルル…

繋ける事はないであろうあの人の携帯。

出るかどうかわからないけど。



『はい、高瀬です――』



でも、あっさりと出た。