懐石料理も届き、こちらは準備は万端。

約束の11時になれば、ピンポーンと呼び鈴が鳴る。



「俺が出る」



「粗相のないようにね」



「はいはい…」



こっちが疲れて来るよ。

主役の私がお茶を淹れる中、母親はチュニックのシワを気にしながら立ち上がる。

…自分で洗ったくせに。

グチグチ言ってる母親にため息を吐きながら、「お邪魔します」と入って来た、紀斗の両親に頭を下げた。



「お父様、お母様。お暑い中、ご足労お掛け致しまして」



「構いまへん構いまへん。
うちの三十路息子を貰って頂くさかい、どこでも出向きますがな!」



…生粋の関西人だ;;