泣き止み、海岸を2人で歩く。

紀斗さんが買ってくれたスポーツドリンクが、ペットボトルの中でチャプチャプと音を起てて揺れてる。



「何か、2人占めだね」



静かな夜の海。

他に人は見当たらない。



「ちょっと座るか」



並んでガードレールに腰を据えた。

波音とたまに行き交う車のエンジン音が空に反響(こだま)してる。



「俺には碧斗の下にもう1人、朱斗ーアカトーって22の弟が居るんや。
いっつも後ろをついて来よるあいつらを守らなあかんて使命感が強くてな。気付いたら、負け戦が嫌いやった」



地平線を見つめて、懐かしそうに話す彼に、私は頷くだけ。