「妹に苦労を掛けて、謝りがないんは許せへん」



「誰だよお前」



「どう見ても、憂愛の彼氏やんか」



…何を言ってるの?

サラリと嘘を言う高瀬紀斗。

私は目を見開きながら、彼を見た。



「だから?」



「―――俺の女を苦しめるヤツは、兄貴やろうと殺るぞガキ…」



そっと低い声で言う彼に、私はドキッとした。

恐怖とは違う。

意味がわからない自分の感情に、唇を噛む。

突っ込む事も出来ない。



「な、何なんだよ!あんた!;;」



兄貴は情けないほどに、ビビってる。

高瀬紀斗は「普通のサラリーマンやで?」と、ニヤリと笑う。