署に入って行く榊原さんの背中に頭を下げた。



「憂愛ちゃんの兄貴、何や、不良か?」



「…ただのクズかも知れません。それに、頼んでないんですけど」



「頼まれてへんし。ただ、人助けやで」



良い人なのか、気まぐれな人なのか、よくわからない。

入り口からダルそうに歩いて来る兄貴。

金髪で、耳にはたくさんのピアス。

タンクトップとジャージは、私が居ないうちに、家に取りに行ったのだろうか。



「おー、憂愛。竜哉兄は来てないみたいだな。金、お前が貸せよ」



兄貴は竜哉兄から、1週間に1〜2万は借りてる。

私がこっそり返してるけど、人前で止めて欲しい。