「…………憂愛ッ!」



「――は、はいっ!;;」



後ろからいきなり呼ばれ、肩がビクッと上がった。

振り向けば、紀斗さんがキョトンとした顔でいる。



「さっきから呼んでたんやけど、何かあったか?」



「あ、まぁ…」



私は兄貴の海パンを、物干し竿にかけた。

選択ばさみで固定し、紀斗さんの赤と黒の海パンを次に手にした。

おばあちゃんから聞いた話をする。



「俺も憂音と出掛けた時に、カーナビのテレビで聞いたで」



ニュースでやるほど、有名なんだ。

私は「兄貴が…」と、ポツリと呟いた。