立ち泳ぎで進むと、紀斗さんは自身の顔ギリギリの位置で止まった。



「プハッ!;;」



私はというと、完全に顔が埋まるほど。

足の動きを止めたら沈んでしまう。



「ちっちゃいんやなー、憂愛」



紀斗さんがクスクスと笑いながら、私を抱き上げた。

腰に手を回され、ようやく体が楽になった。



「憂愛!!」



そこに、歩いてる倉木さんを残し、スイミングスクールで鍛えられたフォームの綺麗な平泳ぎで近付いて来た梢。



「何、慌てて」



「憂音さん、誰かに連れて行かれたよ?何か、ヤクザみたいな」



…もう、馬鹿ッ!!

やっと抜けれたのに!!