「着きましたよ」



15分後。

色々と考えてたら着いてしまった。



「2千円です」



「―――1万円からですね」



「…ちょっ…」



…何で、払ってるの?

私は高瀬紀斗の手を掴んで、目で訴える。



「気にする事ないで」



「しま…」



「8千円のお返しです」



支払いは完了してる。

私は後でお金を返そうと、タクシーから降りた。

財布から2千円を出す。



「これ」



「いらへんて。俺に恥をかかせんなや」



恥をかかせるつもりはない。

なのに、背中を向けられたら、渡せないじゃん。