「あの、どうしましたか?」

座って桜を眺めていると瑠璃がおずおずと話しかけて来た。

ああ、やっぱり真珠声に似ている。

「桜を見ていたんだ。」

静かに答えてゆっくりと立ち上がり瑠璃のほうを振り向く。

「桜?」

瑠璃はきょとんとしている。
その表情もなにからなにまで真珠だった。

「ああ。思い出の、桜をね。」

「思い出の桜ですか・・・」

困ったような表情をしている瑠璃。

そんな瑠璃に手を差し伸べる。

「迎えに来たよ。瑠璃。」

「え?」

「さあ、俺と一緒に行こう。」

「っ!」

俺が術をかけると瑠璃は自分の周りに結界を張る。

さすが桜乙女だ。