「儚い中に力強い何かを兼ねそろえている。だから清く美しい。そんな霊力をあなたはもっているのよ。」

夢さんは美しい顔で優しく笑いながらそういった。

「それは多分桜乙女だからですよ。」

私の霊力はそんなに強くない。

「いいえ。あなたの霊力そのものがそうなのよ。だから桜もあなたを選んだの。」

「桜が?」

「そう。その霊力ならきっと桜乙女の力を発揮できると考えたのでしょうね。」

「桜乙女の力?」

「ごめんなさいね。私が言えるのはここまでよ。」

申し訳無さそうに夢さんは謝る。

「いえ!ありがとうございます!でもどうして夢さんはそんなに桜乙女について知っているんですか?」

「それはね、百合がそうだったから。」

「え?百合さん?」

「そうよ。私はかつて百合と同じ巫女だった。百合と私は大の仲良しだったのよ。だから百合からいろいろと話しを聞いていたの。だけどある日彼女はアヤカシを滅する代償に命を落としたの・・・。そして刹那様は眠りについた。私はもう一度百合に逢いたくてね、死後霊力を使い精霊になったのよ。」

切なそうに笑う夢さん。
本当に百合さんは沢山の人に愛されていたんだと実感した。

「あの、私・・・。」

「知っているわ。あなた百合の生まれ変わりなんでしょう?」

おずおずと頷く。

「最初見た時驚いたわ。百合が生き返ったのかと思ったくらいよ。」

「いえ!私百合さんみたいに綺麗じゃありません!」

慌てて否定すると夢さんは優しく微笑んだ。

「確かに違うわね。百合はそんなに面白い子じゃないもの。」

遠い目で私を見つめる。