「っそんなことなにも言ってないでしょ!?」

私も感情的に叫ぶ。

「じゃがそう捉えられておかしくない表現じゃが?」

「だから、私はほっとけないって言っただけ!別に鬼に攫われたかったなんて言ってない!どうしてそういうこと言うの!?」

「おぬしはわかっておらぬ。アヤカシとは人間のそういう心につけこむのじゃ。」

刹那がため息混じりにつぶやく。
その言葉が胸に突き刺さる。

「刹那に人間のなにがわかるの!?」

思わず言ってしまった言葉。
言ってから後悔した。

案の定刹那は苦々しげにこちらに視線を滑らせる。

「確かにわしは人間ではない。しかし人間と暮しているうちにそうゆうのも理解出来るようになってきたのじゃ。それに百合はそこはきちんと弁えていた。」

百合さん・・・?

「そこって・・・?」

「けじめじゃよ。巫女である百合は強い霊力で皆を守っていた。そしてアヤカシが人間の優しさと言う名の甘さにつけ込むことも知っておったのじゃよ。」

はき捨てるように刹那が呟く。
つまり私が甘いってこと?
私が百合さんみたいに強くないからつけ込まれるってこと?

「っだよ・・・」

「え?」

刹那は聴こえないのか聞き返してくる。

「っそうだよ!私は百合さんみたいに強くもないし甘いかもしれない!でも私は私なの!ほかの誰でも無いわ!だから比べられたくない!」

そう叫ぶと一気に涙が溢れる。

どうして距離が縮まったと思うと離れてしまうの?