桜の木の前には鬼と瑠璃がいる。

瑠璃は鬼の魔力に引きずられていた。

わしは瑠璃の体を抱き寄せる。

「こやつはわしの嫁じゃ。おぬしにはやらぬ。」

「ああ。狐だね。」

「そうじゃ。ここは鬼のおぬしが来るところではない。」

そう言ってわしは霊力を発する。

「ふっ。今日は満月。君の力が強い日だね。また改めて迎えに来るよ。」

鬼は意味深な言葉を残して消えていった。
間に合ってよかったと思う。

これも百合のおかげじゃない。
わしは心の中で百合に感謝した。