桜の木の前で


「私がなに?」

瑠璃は穏やかに微笑む。

「瑠璃さんが過去を変えた代償を支払うことになってしまうのでは・・・」

「そうなるかもしれませんね。」

「なぜそんな危険を冒してまで俺らを助けてくれたんだ?」

「何故って・・・助けたかったから。人を助けることに理由なんてないわ。助けたいから、その人に幸せになってもらいたいから。ただ、それだけだよ。」

「ふっ、おぬしらしいな。」

「もう、それは褒めているの?」

「ああ。最高の褒め言葉じゃよ。」

わしはそう言って瑠璃を抱き寄せる。