ああそういえば、いつの間にかBGMが止まってる。
私は流れていた曲名もアーティストが誰なのかも知らない。


「諒と、こうしたかった」

「けど優理は、俺のこと友達としか見てないて言ったじゃん!」

「そうだと思ってた」


諒はまた、「意味が分かんねぇよ…」と呟いた。


「俺はな、未だに優理のことが好きだ…。今お前がしたことだって夢見てた。その続きだってしたいって思ってたし、今だって思ってる」


最低かもしれねーけど、と諒は付け足した。
最低なんて言わないで。


「私が、好きだから?」


諒は小さく、バツが悪そうに頷いた。


「じゃあ、私が諒とそうしたいって思うのって、何でだろう?」

「それは、酔った勢いで……」

「馬鹿。鈍感」


私も起き上がって、諒と向かい合う。

「私が酔った勢いなんかで、衝動や気まぐれなんかでこんなことしないの、諒が一番よく知ってるんじゃないの?」

「優理…」


長く細い諒の腕が、私の顔に伸ばされる。
大きな手が頬を包む。
諒の手ってこんなにおっきかったんだ…。