私が部屋に帰ると七海はすぐ私の部屋に来た。
でも、鍵をかけていたため七海は扉をひたすら叩くだけ。
『七海ごめん。
今日は一人にしてくれない・・・』
「椿・・・。」
そう言うと七海の足音は静かに遠くなっていった。
私はそっとお腹に語りかけた。
『ごめんね。弱いママで。
パパとあなたを離れ離れにさせてしまって。
ママね。ほんとはパパのこと今でも大好きなんだよ。
この先もずっと・・・。
パパが誰を想っていてもママの気持ちは変わらないの。』
私はそのまま眠りについた。
そして夢を見た。
私と仲良く手を繋ぎながら歩く小さな子ども。
男の子か女の子かは分からない。
だけどその子が向こうから見える男の人のほうへ走っていく。
あの人は誰??
懐かしく愛おしい感じがする。
誰だろう。でも私はその人のことをよく知っている気がする。
・・・・・・・・。分かった。
私が愛してやまない人。
私は夢の中でその子に語りかけた。
『ねぇ。あの人はあなたのパパだよね??』
すると子どもは満面の笑みで頷いた。
「うん!!!!そうだよ!!ママっ!!!」
やっぱりそうなんだ。
この子は私たちの子ども。
そして向こう側には・・・・・・。智・・・・。
向こうから聞こえる優しい声。
「椿。待っててくれ。」
そこで私は目が覚めた。
そしてそっと扉に目をやると一枚の手紙が落ちていた。
それをそっと拾うと・・・。
佐山椿様・・・。工藤智より
『えっ・・・・?』
それは智からの手紙だった。
私はさっきの夢を思い出し、
そっとその手紙を開いた。

