「それは出来ません。
佐山に入った時から・・・。初代組長が亡くなった時から第一の椿さん。
それに変わりはありません。」
『だったらこの組を抜けなさい。』
「そんなっ!!!」
『・・・。ウソに決まってるでしょ??
でも私を第一に守ることは許さない。
七海は私にとって命と同じくらい大切なの。
七海を守ることは私の命を守るのと同じなの・・・。
それに・・・。相模が自分自身を守るのも同じ。
相模にもしものことがあった時七海はきっと生きていけなくなる。
相模ならわかるよね???七海の弱さを。強がりを。』
「しかし!!!」
『まだわかんねぇーか!!!これは組長命令だ。いいな???』
「・・・・。はい」
『なっとく出来ないって顔ね??
相模分かって??お願い。』
私が頭を下げるのは何回目だろう。
でも七海のためなら。何度だって下げる。
どんな無様な姿でも。
「組長!!!頭を上げてください!!!分かりました!!
第一の七海さんのことを考えます!!!」
『・・・・。ありがとう!!!』
私は相模に精一杯の笑顔でお礼をいった。
「組長変わりましたね???」
『私が???』
「はい。強くなりました。本当の強さを組長は得た気がします。」
『本当の強さ・・・??』
「はい。自分より身分の低い我々にまで頭を下げるようになった。
本当の強さとはプライドも何もかも捨て・・・。誰よりも他人のことを考えられる
ことだと思います。」
『・・・・。そうなのかな・・・。そうだったら私と智が別れた意味もちゃんと存在
してたのかな??』
「ええ。意味があった別れだと思いますよ。組長。元気な子を産んでくださいね!!」
『相模・・・。もちろん!!!』
私の目に涙が溜まっていたこと。今にもあふれてしまいそうなこと。きっと相模は気づいていたね。だからそっと・・・。
部屋から出て行ってくれたんだよね・・・。
その優しさを今度は七海に与えてあげてください。

