「ま…クビでしょう…」
「………………………」
「どうせ大した権限もないし、そもそも左遷気味にやってきたクチだし、ろくに仕事も出来ないし、覚えないし,覚える気力さえもない。いまだに、ITをアイテーとか発音するし、今時ね、Dをデーとか発音する人いませんよ。大正、昭和の話じゃあるまいし! その上ITの意味を『いてまえ、タイガース』とか言って、阪神ファンの取引先の人にボコられるし、そんな…諸々の件で考えられる選択肢は……ま、世間から追い出されるか…その筋の人にはじかれるか…クビか……クビか……クビ……」
「その前に、ひとつ聞いてもいいかな?」
「はい」



