THE BEST REVENGE

「それがさぁ、できないんだよぉ。だってさ、だってさ、ビルとか登るじゃん。2、3回立てば分かるんだけどさ、立てば立つほどねぇ、足がすくんじゃって、もう後何にも考えらんない。考えらんない。ああ、もうダメ。ダメなんだよねぇ…」

あまりに卑屈な低姿勢は、
見ているだけで腹が立つ。
摩耶は嫌みたらしく
支店長に告げた。

「で、今日はどうするんです? あらごめんなさぁい。今日と言うよりも、これからでしたわねぇ?」

支店長は聞く耳さえ貸さず、
この銀行のこれまでの役割を
語り始めた。

「そう——思えばここは、人の目を欺き続けてきた。散々なまでに。銀行とは名ばかりの、政治家への現金輸送庫――かけがえのない人々から納められたかけがえないお金を、公的資金の名の上で散々なまでに浪費し尽くし………かけがえのないお金がまた蓄えられるんだよ」

支店長の話に
まったく耳を傾けないマヤ。
もうどうでもいい雰囲気が
着々とできあがっていく。