† 

舗装したての県道203号線、
一日の終わりを告げる
夕暮れは遠い昔のように思えた。

日の差し込まぬ、
分厚い雪空に覆われた、
白銀の車道で、
車が混み合いだした中を
漆黒のセダンが駆け抜ける。

車中で、式守由衣香警部補と
牟魯田武寛警視は
ある汚職事件の決着を
つけようとしていた。