風はいつまでも
吹いちゃいないけれど、
その気になれば
飛び出せるはずだと
教えてくれてる気もした。
「——結局、手元にあるのはこの血だけか?」
「ああ」
「——こっちは?」
「ア、アキラの血だよ」
奏梧はまるで品定めするように
黒崎が両手にそれぞれ持っていた
日向とアキラの血が入った
輸血パックを眺めた。
眺めているその目の輝きからは特に、
生への執着は感じられなかった。
吹いちゃいないけれど、
その気になれば
飛び出せるはずだと
教えてくれてる気もした。
「——結局、手元にあるのはこの血だけか?」
「ああ」
「——こっちは?」
「ア、アキラの血だよ」
奏梧はまるで品定めするように
黒崎が両手にそれぞれ持っていた
日向とアキラの血が入った
輸血パックを眺めた。
眺めているその目の輝きからは特に、
生への執着は感じられなかった。



