「アキラはさ、自殺じゃない。殺されたんだ。田上の資金集めに利用されて。あの時アキラすっげぇムシャクシャしてたから、簡単にやれただろうさ。自暴自棄の果てに自殺しましたって誰が見ても思うだろうし、その上過剰なまでの演出まで施してさ」
「お前、病院にいたのか?」
「いたよ。剖検にも立ち会った。仕事だからね」
「——人ごとみたいに言うな!結局何もしなかったのかよ?」
「したかったよ! 俺は出来ないって何度だって叫びたかったよ! 後学のためだとか、なんだとかうんちく並べられても踏み絵のようにしか聞こえなかったよ。あんな状況じゃするしかないだろうよ。な、だろう? 殺されたら元も子もないだろう?」
黒崎のネクタイが揺れた。
風に揺らされたネクタイは
タイピンに止められていたのに
まだそれから離れようと
小さくあがいていた。
「お前、病院にいたのか?」
「いたよ。剖検にも立ち会った。仕事だからね」
「——人ごとみたいに言うな!結局何もしなかったのかよ?」
「したかったよ! 俺は出来ないって何度だって叫びたかったよ! 後学のためだとか、なんだとかうんちく並べられても踏み絵のようにしか聞こえなかったよ。あんな状況じゃするしかないだろうよ。な、だろう? 殺されたら元も子もないだろう?」
黒崎のネクタイが揺れた。
風に揺らされたネクタイは
タイピンに止められていたのに
まだそれから離れようと
小さくあがいていた。



