「上村、ちょっといいか?」


「ん?…げ…」


「げってな、人の顔見て言うなよなー。ちょっと来い」


ホノリと話して居た所に噂(?)の人物が来た。

そう、立花が。

もー、やだ。

なんかよく分かんないけど立花はあたしの腕を引っ張ってどこかに向かっている。

っていうか、ここの場面を村上さんにバレた…じゃなくて、見られたらどうするの。

言い訳おもい…っていうか、あたしも好きなんだし、言い訳必要ないよね。

ハイ、そうだ。

頭で一人物事を完結させていると立花に準備室に引っ張られていた。


「なあ、上村。さっきのどういうことだよ」


「…ごめん。色々となんかあって…イライラしてて…」


「八つ当たりかよ、最低だな」


ズキン―…

好きな人に『最低』って言われるのこんなにキツイんだな。

あーあ。嫌われちゃったよ。

ここで笑う場面ではないことにあたしは気付いているのに思わず笑ってしまった。


「……あたしの負け」


突然、そう呟いたあたしを訝しげに立花は見てきた。


「話は終わった?」


「まあ、うん」


「じゃ」


準備室に立花を置いて教室に戻った。

涙が流れそうになるけど、止める。

頑張って。

負けたんだから、諦めないと。

心から、恋心から、立花実槻という存在を消す努力をしよう。