『…わかった。』



納得しきってないまま、手は離れた。



『今日はありがと。また学校で。』



背を向けて言う君に、涙がこみ上げてくる。



『うん。私も楽しかった。帰り、気をつけて。』



最後に見せてくれた笑顔がやけに切ないね…。



ドアが閉まって、足音が遠のいていく。



胸が熱い……。



火照った顔を両手で覆う。



すると、テーブルに置いてあった携帯が
鳴り始める。



着信は《霧島 準》。



──はい。



──友香?空見てみ。すっげー月!!



言われるがままベランダに出て空を見上げた。



満月が、星より輝いていた。