誠ノ桜 -桜の下で-




『この女はお前が刀試しに斬った桜なんだ!!
復讐しに来たんだよ!お前、殺されるぞ!』


信じられないと言った表情で、桜を見た。

桜は泣きそうな表情で、首を振る。


『違う、殺したりなんかしない。私は鉄也さん
を愛してるから………』


涙を零した桜を抱き寄せ、鉄也は男を見る。


『洋介(ヨウスケ)さん。例え桜が俺の斬った桜の
生まれ変わりで、復讐の為に近付いたのだと
しても、俺も桜を愛しています』


だから、殺せません。

そう言い切った鉄也に、洋介と呼ばれた男は
表情を歪める。


『植物と人間に、愛などあるものか!!』


突然に叫ぶと、洋介は刀を構えた。


『いつか尻尾を出すその前に、お前が斬れぬ
のならば俺が……っ!!』


ひゅん、と二人に刀が振り下ろされようとし
た。

桜は咄嗟に鉄也を守ろうと、鉄也を突き飛ば
した。


『っあ………く……』