吐息が掛かって擽(クスグ)ったいのか、顔を赤
く染めて瞳を潤わせた。


「それじゃあ…誘ってる、とか…?」

「ち、が………!」


もう無理だとばかりに沖田の胸を押す。

だが、沖田にクスッと笑われた。


「強引なのに弱いんだね?」


沖田は壁に突いていた手を、凜の腰と背に回
して抱き寄せた。


「俺…、凜ちゃんが好きだよ」

「………ぇ……」


顔を上げた凜の唇に、沖田の唇が重なる。


「ごめん、でも…今だけ…」


そう言ってまた近付く唇を、凜は拒む事はな
かった。