「失礼します、鈴香(スズカ)です」

「……失礼します。お初にお目に掛かります、
凜桜(リオ)と申します。どうぞよろしゅう」


山崎は何度か芹沢の相手をした事があるらし
く、『鈴香』と聞くと芹沢は機嫌が良さそう
に笑った。


「おぉ、鈴香か。新人も別嬪じゃな」


もう何杯も呑んだのか、芹沢の頬はほんのり
赤く火照っている。


「凜桜、と言ったか。酌をしろ」

「はい、ではお酌させて頂きます」


芹沢が凜を指名した為、山崎は隣に座る芹沢
派副長 新見 錦(ニイミ ニシキ)に酒を勧めた。

本当に、勝手に入ったのに全く怪しまれてい
ない。


「芹沢はんは、壬生浪士組とか言うとこの局長
さんなんどすか?」

「おぉ、そうだ」


凜は上手く酒を勧めながら、いきなり本題に
入ってみる。

山崎も新見の相手をしながら、こちらの会話
に耳を傾けているようだ。