団子を十個頼んで、辺りを見回してみた。
…怪しい輩はいない。
その内に団子が運ばれてきた。
一口頬張り飲み込むと、ふぅと息を吐く。
「…何」
「声掛けてよ」
「入ってくればいいじゃない」
「もー、冷たいなぁ」
とそんな調子で凜と話しをしているのは、
会津藩松平公直属部隊副隊長である
宮部 薫(ミヤベ カオル)。
凜は宮部がいたのに気づいていたらしく、
団子を大めに頼んでいた。
「隊長、また浪士撃退したんだって?」
「うん、まぁ」
「さっすが桜姫」
「止めて、姫とか似合わないから」
「えー、そんな事ないのに」
テンポよく交わされる会話の後、急に店内が
静かになった。
何かと思えば、芹沢 鴨(セリザワ カモ)率いる壬生
浪士組の、副長助勤である沖田 総司が入って
きたのだ。
沖田はどちらかと言うと、もう一人の局長の
方についているが。