「――みっともない」


京の大通りでは、凜とした声が響いていた。


声の主は言うまでもなく凜のもの。

それは女に集(タカ)る浪士に向けられた。


「な……んだとぉ!?」

「みっともない」


躊躇う様子もなく再び紡がれた言葉に、浪士
は怒りで顔を真っ赤にした。


「女性に集るなんてみっともない。………そう
思わない?というか集る事がみっともないわ」


先程まで町民は浪士と女に目もくれず賑わっ
ていた。

だが、凜が浪士の火に油を注いだ事で浪士が
怒り出すと怯えて静まった。


「てめぇ……一体どこのどいつだ!!」

「武士失格な奴に教える義理もない。…けど、
まぁいいわ」


男の怒りに点火していく凜を、町民達は冷や
冷やしながら見守る。


「後悔しても知らないわよ。
私は会津藩松平公直属部隊隊長 水城 凜。
…知ってるかと思うけど」


その役職を聞いた瞬間、浪士は青ざめ町民は
歓声を上げた。