しかし余りにもよく斬れ、その桜の木は切り
落ちてしまった。

以来その刀には桜の精の魂が宿っていると言
い伝えられている。

下手に心の弱い者が刀を握れば、忽(タチマ)ち己
の身を斬り裂いてしまうという妖刀。


しかし凜は緋桜を使い熟していた。



お互い敵という訳ではない為、勿論峰打ちで
試合をする。

同時に地を蹴った二人は、既に戦う時の表情
になっていた。


「…流石、強い」

「あんたもね」







試合を始めてから、約五分。

沖田が得意の『三段突き』を繰り出した。

捨て身の突きを三回連続で出す、究極の技だ。


「――…!!」


しかし凜は見切っていたのか、いとも簡単に
避けると沖田に一太刀浴びせた。


「勝負あり、ね」

「……は…はぁ、強い…」


沖田は眉を下げて苦笑し、凜を見た。


「松平公直属だけある…」