誠ノ桜 -桜の下で-




凜が薄情すると沖田は「ふうん」と呟いて凜の
上から退いた。


「で、そいつ等は?」

「一人残らず斬った」


それを聞くと沖田は溜め息を吐いた。


「生きていたら、八つ裂きにしてやりたかった
んだけどなぁ」


瞬間、凜の背筋がゾゾッとする。

想像、してしまったのだ。

その時、向こうから襖を叩く音がした。


「………俺」

「馬鹿か諒、『俺』じゃ分かんないって!」

「凜、暁です」


会話を聞くと、凜ははぁと溜め息を吐いた。

……賑やかな奴等が来た、と。


「どうぞ。………諒と暁」

「ちょ、何無視してんの!!」


とか言いつつ入って来た宮部に顔をしかめ、
沖田に視線を戻した。


「無口なのが氷上 諒、敬語なのが犬山 暁、
後馬鹿」

「凜、いい加減斬る「黙れ薫、お前を斬るぞ」


宮部がわなわなと震えていると、普段敬語で
温厚な犬山が恐ろしい顔をしていた。