凜は一度目を瞑って、精神を集中させる。
傷だらけの体は、今にも壊れそうだ。
それでも刀は納めず、凜は吉田を見据えた。
「遺言は」
「ないね」
その言葉と同時に、吉田が地を蹴った。
刀は大きく振り上げられていて、避けると後
ろにいる総司に当たる。
凜は正面から受けず、その一太刀を流した。
「なかなか、利口だね」
「あんたは馬鹿ね」
そう言うと、凜は吉田の背に回り込む。
傷だらけの体でも、素早い動きは健在だ。
そのまま刀を下から振り上げ、袈裟掛けを浴
びせる。
瞬間、肩に激痛が走った。
「―――っ…!!」
思わず刀を落としてしまう。
吉田は絶命している。
斬られる心配はない為、今は体を休める事に
した。
「凜ちゃん」
少し休んで楽になったのか、沖田は凜の傍に
来た。
「やっぱり、傷だらけだったんだね…」