誠ノ桜 -桜の下で-




「私も行きます」


この発言には、四人目を見開いた。


「馬鹿言うなよ!その傷で何が出来るの」

「誰が何を言おうと、僕が救護室から出させま
せんからね」

「怪我人は大人しくしてろ」

「私も、勿論反対だ」


皆に反対されて、凜は押し黙った。


「これは命令だ、凜。外へは出るな」

「……承知しました」


意外にも承諾すると、凜は犬山に連れられて
救護室へ戻った。


「…さて。宮部、氷上。出動要請だ――」








――…



月が見え始めた。

今頃、会津の援軍が到着しているだろう。


犬山は凜の見張りらしく、部屋の前にいる。

凜はスッと襖を開け、部屋から出た。


「凜、どこに「厠」


犬山の疑わしげな声を遮って、凜はすたすた
と歩き出す。

流石に犬山は男で凜は女なので、厠までつい
て行くのは止めていた。