凜は薄い意識の中、途切れ途切れの声で目が
覚めた。
目を開けると窓から太陽が眩しく光り、自分
がよく寝ていた事に気がつく。
さっきの声は、隣の会議室かららしい。
凜は壁に耳を宛て、よく澄ましてみた。
「しかし、長州の過激派浪士等がこうも動き出
すとはな……」
松平の悔しそうな声が聞こえてくる。
皆で何の会議をしているのかと、凜は必死に
耳を傾けた。
きっと普通に聞いても、凜の身を案じて誰も
教えてはくれないだろう。
「古高 俊太郎(フルタカ シュンタロウ)の方は、新選組が
探っているんですよね?」
「それが、一向に動きを見せないらしいのだ。
四六時中見張りを付けているそうだが…」
どうにもなぁ、と松平は残念そうだ。
「…あ、松平様。そろそろ凜にご飯を食べても
らわないとなので、僕は失礼します」
「あぁ、頼んだぞ」