『……親父…ごめんね』
その言葉を言った瞬間、チリンと風鈴が僅かな風で揺れた
『なんで謝るんだ?』
何も知らない親父は首を傾げて、俺の顔を見た
俺は目線を落としたまま、何も言えなくなった
だって“ごめん”の理由がたくさん有りすぎるから
だけどその中の理由でも、最も謝らなくてはいけない事は………
『俺…親父の事大切にしてなかった』
小さい頃は親父の背中を見て育って、これからは俺が親父を背負えるぐらい大きくならなきゃいけなかったのに
俺は親父に背を向けたまま、向き合おうともしなかった
生まれてからいつも側に居た親父が居なくなるなんて考えた事もなかったから
本当はもっと…もっと先の事だと思ってた
俺が結婚して、子供が生まれて孫が出来て
そんな…ずっと先の未来だと思ってた
八日間で今までの恩なんて返せる訳がない
やっぱり俺の中に浮かぶのは後悔の二文字だけ
『いいんだよ別に。子供は親から離れていくものなんだから。反抗は成長の証だろ?』
親父の言葉が胸にズシリと響いた
尊敬する人はお父さん
あの頃は尊敬の意味も知らないまま言っていたけど
今なら胸を張って言える
尊敬する人は親父
こんなにも優しくて、こんなにも心の広い父親に俺もいつかなりたいよ
それで…そんな俺を親父に見て欲しかった



