プ リ ン ス

『俺がお前らを強い男にしてやる。』


「……。」


『決心がついたら、ネクタイを俺と同じ緑にしてきな。』


「……。」


男達は倒れたまま黙りこんでいるので、俺は立ち上がって膝をはたいた。




『この学校はおかしい。色に縛られて、上に縛られて、生活していて楽しいか?強くなりたいなら、自分で努力しないと意味が無い。毎日強くなって、柔道でも空手でも賞とってこい。上が怖じけづくぐらいな結果を出せ。』


俺は男達に背を向けた。




『俺はお前らを鍛えるのを楽しみにしてるよ。』


最後に手を振り、その場を後にした。








柱に隠れながら様子を見ていた男がいた。




「へー…結構やるんだ……。」


男はニヤリと口角をあげた。




「まぁ、あいつらは捨て駒だからいなくても別にいいんだけどねぇ〜。」


男の視線は羽藍が倒した奴らに向いていた。




「リーダーに報告しよーっと。」


男はチュッパチャップスを取り出し、口の中にコロンと入れ、その場を後にした。




チュッパチャップスのさくらんぼの香りがその場に残った。